【合唱団運営】歌詞の分析・解釈ってどこまでやればいいの?

【合唱団運営】歌詞の分析・解釈ってどこまでやればいいの?

歌詞の分析をどこまでやればいいのか、悩んでいるという合唱団員の方の声をよく聞きます。

歌詞分析の手法を下記に掲載したいと思います。

分析の目的を意識する

歌詞を分析する目的はそもそも演奏をするうえで役に立つ示唆を得ることです。

この部分を忘れてしまうと、ただの知的好奇心をみたすための活動になってしまいます。

まず、調べたことをどのように生かすのかを意識することが大切です。

歌詞の分析手法① 詩のリズム

歌詞のリズムがどのようになっているのかを調べます。

主に音節数を数えることで大まかなリズムを把握することができます

 

例:ふるさと 高野辰之

うさぎおいし かのやま 6  4

こぶなつりし かのかわ 6  4

ゆめはいまも めぐりて 6  4

わすれがたき ふるさと 6  4

※原詩と異なりひらがな表記にしています

リズムがすべて 6-4 でまとめられていることが分かります。

偶数系のリズムは短歌などにみられる五七調と比べてやわらかい印象を受けます。

全体的に流れるように歌うことが望ましい表現となることが多いです。

 

例:椰子の実   島崎藤村

なもしらぬ とおきしまより 5 7

ながれよる やしのみひとつ  5 7

 

こちらは五七調です。やや厳格なイメージを受けますね。

やや、言葉をはっきりと歌う表現がハマる場合が多いです。

 

また、5 -7の形式をとっていると読めるので

なもしらぬ とおきしまより をつなげて歌うと違和感を覚えることがわかります。

 

 

歌詞の分析手法② 対句を探す

対になっている部分を探します。

例:ふるさと 高野辰之

うさぎおいし かのやま 6  4

こぶなつりし かのかわ 6  4

上記ふるさとの例では おいし と つりし かのやま とかのかわ が対になっています。

このような表現のある部分ではそれぞれが対になっていることがわかるように歌うことが望ましいです。

具体的にはフレージングを同じにしてあげること、強弱を似せてあげること などが手法として挙げられます。

 

歌詞の分析手法③ 韻を調べる

 

例:ふるさと 高野辰之

うさぎおいし かのやま 6  4

こぶなつりし かのかわ 6  4

 

これをローマ字で書き換えましょう。

 

Usaghioishi  kanoyama

kobunatsurishi kanokawa

こうして調べてみると

oishi とtsurishi  のishi

yama と kawa の aの母音 が一致していることがわかります。

 

このように母音を一致させることで対句を強化していることが感じ取れます。

歌の響きも同じようにまとまる部分ですので、母音がばらけない様に意識して歌うべきでしょう。

 

詩の解釈

解釈のプロセス

合唱団によっては詩の解釈について複数人で議論することが文化となっている場合もあるかと思います。

効率的に内容を理解し演奏に反映していくためには下記のプロセスを介すると良いでしょう。

 

①代表者を決めて代表者が解釈を作る

② ①の成果物を全員に展開する

③ 全員が読み込んだうえで、解釈を行う

 

この手法では一見して議論をする前にバイアスをかけてしまうように見えますが、

実際は歌詞解釈の場合、それほど大きな差がでることはないので、問題は生じづらいといえます

むしろ、速度があがり効率が向上します。

詩の解釈方法

原則的には分からない単語を調べ、古典的な言い回しについて現代的な表現にかえれば

腑に落ちる形で解釈ができるかと思います。

合唱を行う上では、風景をイメージしたり、感情移入したりできる要素を各団員が持つことが大切です。

そのため、関連する写真や動画などを用意することも良いでしょう。

 

体験がない場合の対処法

とはいえ、詩に登場するシーンを体験したことがない、イメージがわかない という場合も多くあるかと思います。

その場合には感情の種別を判断して、その感情が沸き起こるシーンを思い浮かべるという手法があります。

下記は くちなし の詩ですが、

父を亡くした主人公が庭の片隅に植えられているくちなしの木を見て父の言葉を思い出す詩です。

 

 

例:くちなし

高野喜久雄 作詞

荒れていた庭 片隅に
亡き父が植えたくちなし
年ごとに かおり高く
花はふえ
今年は十九の実がついた

くちなしの木に
くちなしの花が咲き
実がついた
ただ それだけのことなのに
ふるえる
ふるえるわたしのこころ

「ごらん くちなしの実を ごらん
 熟しても 口をひらかぬ くちなしの実だ」
とある日の 父のことば
父の祈り

くちなしの実よ
くちなしの実のように
待ちこがれつつ
ひたすらに こがれ生きよ
と父はいう
今も どこかで父はいう

 

例えば、父を亡くした という経験がないのでイメージが湧きづらいというのであれば、

抽出できるイメージを抽象的な言葉で置き換えてみましょう。

 

なつかしさ さびしさ あたたかさ 

 

そしてこの言葉が当てはまるシーンを浮かべます。

 

なつかしさ さびしさ あたたかさ ⇒ なくなった祖母の言葉

 

こうすると少し、イメージがしやすくなるのではないでしょうか。

 

◆生きていく中で歌詞の本当の意味がわかっていく愉しみ

人生経験を積んでいくと、かつてはわからなかった詩の意味が分かるようになっていく瞬間が訪れていくと思います。

こうした瞬間に出会うのも合唱を通じで詩と触れ合うことの楽しさかもしれませんね。

 

まとめ

  • 分析の目的は演奏をより良いものにすること
  • リズム・対句・韻 を押えれば大まかに構造がわかる
  • 歌詞の解釈は感情移入できることを目的にして、一人がたたきを作り、全員に展開する

 

是非、試してみてください!

 

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