名著「忘れられた日本人」が素晴らしい
「忘れられた日本人」という本を読んだのですが、これが抜群に面白いです。
昭和14年(1939年)から日本全国を歩き回り、各地の民間伝承を集めて
記録したのがこの本なのですが、様々な気付きを与えてくれます。
きつね や 狸 などにまつわる伝承が、
生活感の中で語られているのが非常に面白い。
今、このような昔話を聞いても、どこか異世界の話を面白おかしく語っているように
聴こえてしまうのですが、この本の中に登場する老人たちが語る
伝承は何かすごく、生活感のある、身体感覚を伴った言葉で語られているのです。
非効率の度合いが普通ではない
中には村の決め事をするシーンが描かれているのですが、これが実に面白いのです。
とにかく、進め方が非効率!
こんな会議が社内であったらやり方を根本的に見直すよう指導したくなること間違いなしです。
この本に出てくる人々は、どこかのんびりしていて、基本的に非効率。
それでいて、とても感情的。
一見気楽なようにも見えますが、ある意味でストレスフルな環境にも見えます。
日本の暮らしは急激に変化している
確かに昔の話ではありますが、100年も昔のことを語っているわけではありません。
それなのにもかかわらず、生活のスピード感、人生感は
ものすごいスピードで変わってしまっていることが分かります。
未来を予測するには過去から現在に至るまでの変化を
理解することが有効かと思われます。
これからAI・ロボットの発展が進むと
何をもたらすのか。
そんなヒントが隠れている本かと思います。
皆さんも是非一度手に取ってみてください。
忘れられた日本人 (ワイド版 岩波文庫) 単行本 – 1995/2/16
内容紹介
日本全国をくまなく歩き,各地の民間伝承を克明に調査した著者(1907-81)が,辺境の地で黙々と生きてきた古老たちの存在を生き生きと描き,歴史の舞台に浮かび上がらせた宮本民俗学の代表作.(解説=網野善彦)
内容(「BOOK」データベースより)
昭和十四年以来、日本全国をくまなく歩き、各地の民間伝承を克明に調査した著者(1907‐81)が、文化を築き支えてきた伝承者=老人達がどのような環境に生きてきたかを、古老たち自身の語るライフストーリーをまじえて生き生きと描く。辺境の地で黙々と生きる日本人の存在を歴史の舞台にうかびあがらせた宮本民俗学の代表作。